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書いてはみたけど、続かない 改め『目撃者』その12
12回目になってしまいまいた。
本当にあともうちょっとなので、見捨てないで下さい。
拍手および拍手コメント、いつもありがとうございます。
温かい心遣いのおかげで、何とか終われそうです。

その1から読み直したい方は、こちらもしくは未分類カテゴリーからどうぞ。


二次創作(仕事人2009)に付き、ご注意のほどお願いいたします。




「やめろ!」
 今まさに刀が振り下ろされようとした時、静止の声がかかった。その声に一瞬振り上げた腕が止まった。しかし、
「やってください。」
 徳兵衛が囁いた。
「いまさら、何をためらうのです。早く、おやんなさい!」
 厳しく冷たい叱責のような声に、びくりと身体を震わせた影は、すぐに決意を持って刀を握りなおした。走り寄る声の主の到着を待たずに、刀は子供を切り裂いた。
「ああっ!」
 男が一人、駆け寄った。倒れた子供を抱き上げたが、既に息をしていない。
「・・・なんということを。」
 男は、自分の同僚を見上げた。血濡れの刀を手にした相手は、動揺したように目をそらした。
「なぜ、こんなことを。なぜだ。」
 小さな亡骸を抱きしめ、男の目から涙がこぼれた。
「なぜなんだ、津田さん!!」
 脇坂は、吼えた。『仏の宗右衛門』と呼ばれた男が、今初めて怒りをあらわにし、それを同僚にぶつけている。津田は、その気迫に気おされた。
「津田さんほどの人が、なぜこんな真似を。」
「・・・・・・脇坂さんには、わかりませんよ。」
 目を背けたままぽつりと、津田が呟いた。
「どんなに剣技に優れようとも、しょせんは見回り同心などという身分に甘んじなくてはならない。私は、あなたたちのように暢気な人種とは、違うんです。私は、もっと高みへとあがらなくてはならない。私には、そうするにふさわしい力がある。私を、その不遇から救ってくれる人が、ついに現れたんです。」
「それが、そこにいる近江屋ですか。」
 脇坂の口調は、厳しい。
「それが、抜け荷の一味に加担する理由ですか!」
 津田は、目だけで脇坂を見た。
「なぜ、私が怪しいと?」
「近江屋の艀を調べた帰り、渡辺さんが何かおかしいと言ったんです。それがどうにも気になって、あのあとまた艀を見に行きました。それで、気づいたんです。喫水線です。艀はみな空のはずなのに、艀によって喫水線の位置が、違っていた。船底に、何かを隠してあるからです。他よりも喫水線が高い艀は、津田さん、あなたが調べた艀ですね。徳兵衛がうまく誘導して、荷の積んである艀をあなたが調べるようにしたのでしょう。」
 津田の目が、細まった。
「それで、どうするつもりですか。」
「自訴してください。そうでなければ、私が訴え出ます。」
「・・・・・・自訴。」
 ぼんやりと、津田が言った。
「自訴して、罪を償うんです。この子のためにも、そうして下さい。」
 子供を抱えたままで言うと、嘲るような笑い声が響いた。
「言うに事欠いて、自訴とは。そんな事をしたら、こっちの命がないわ。」
 大きな身体をゆすり、辰吉が嘲笑した。
「そんな奴に付き合うだけ無駄だ。さっさと片付けちまいましょう。」
 辰吉は、立ち尽くしたままのしずに手を伸ばした。
「よせ!」
 鉄平を地に横たえて立ち上がろうとした脇坂の前に、津田がするりと回りこんだ。
「津田さん、どいてください。どかなければ・・・。」
 脇坂は、刀の柄に手をかけた。
「どかなければ、どうだと言うんです。」
「・・・どいてもらう!」
 津田は、薄く笑った。
「あなたが私を?」
 津田と脇坂の腕の違いは、明らかだった。しかし、それでもなお、勝負を挑まないわけには行かない。
「津田さん、あなたそれでも同心ですか。」
「先刻も言ったでしょう。私はもう、見回り同心なんてごめんです。私はもっと、上に行く。そのためには、踏み台が必要なんです。」
「誰かを踏み台にする未来など、必ず滅びる。なぜ、それがわからないんですか!」
 脇坂は、刀を抜いた。敵わぬまでも、せめて一太刀浴びせてみせる。そんな脇坂を、津田は哀れむように見た。
「もう、遅いんです。私は、もう決して戻れない道に、足を踏み入れてしまっている。あなたこそ、それがわからないとは、気の毒な人だ。」
 津田も、刀を抜いた。二人は、向き合った。じっとりとにじむ汗に柄を握りなおし、脇坂は気合とともに前に踏み込んだ。
「遅い。」
 あっさりとそれを受け流し、津田は脇坂の懐に深く鋭く切り込んだ。一瞬の後、脇坂は地に倒れ伏し、動かなくなった。
 しずが、声にならない叫び声をあげた。よろめいた背中が、何かに当たった。振り向くと、大きな影が自分に覆いかぶさっていた。下卑た笑いに身がすくみ、自分に伸ばされる腕を避けることもできない。大きな手が視界を覆い尽くしたが、しずは、その腕に巻かれた包帯の白さを、身じろぎもせずにぼんやりと見つめるのみであった。










13回目は、こちらへ。


あと少し。
仕事のシーン、飛ばしてもいいかな~・・・。


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