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書いてはみたけど、続かないなぜかその10
10回目だ~。
ついに二桁突入です。
毎回拍手をいただき、ありがとうございます。
あとしばらく、お付き合い下さい。


二次創作(仕事人2009)に付き、ご注意のほどお願いいたします。

1からご覧になりたい方は、こちらから。
 涼次と別れた小五郎は、奉行所へと向かった。途中、帰宅する脇坂に会った。
「脇坂さん、お帰りですか?」
 話しかけると、脇坂は立ち止まって応えた。
「はい。渡辺さんは、見回りですか。ご苦労様です。」
 邪気のない笑顔に、返事に窮する。さわやかに言われてしまうと、自分の怠け癖が後ろめたい気がして、小五郎はそっと脇坂の顔をうかがい見た。しかし、他意は全くないようで、いつも通りのにこやかさだ。いや、いつもよりもさらに笑顔かもしれない。満面の笑みだ。
「・・・・・・何か、いいことがありましたか?」
 尋ねてみると、脇坂は歯を見せた。
「いや、お恥ずかしい。そんなにわかり易いですか。」
「はあ、まあ。」
「実は・・・・・・。」
 照れたように頭を掻き、脇坂はうつむいた。
「結婚が、決まりまして。」
 恥ずかしそうだが嬉しそうに、小さな声で告げた。
「それは、おめでとうございます。」
 素直に祝辞を述べると、脇坂は恥じ入りながらも、ありがとうございますと言った。
「相手は、どんな方なんです。」
「町人の娘です。渡辺さんの奥方のような美人ではありませんが、元気のいい働き者です。私の方の問題も、気にしないと言ってくれまして。」
「そうですか。ご両親も、さぞお喜びでしょう。」
「はい。思い切って申し込んで、良かったです。」
 幸せそうな笑顔にまたも釣られてしまい、小五郎も笑顔を浮かべた。
「では、私はこれから用事がありますので。」
 と、笑顔で辞していく脇坂に手を振り、小五郎は再び奉行所へ向かって歩き出した。背を向けた小五郎は知らない。別れた脇坂が、いつになく厳しい顔をしていたことを。



 奉行所の門をくぐろうとした小五郎は、さらにそこで幾人かの同僚に行き会った。
「渡辺さんじゃないですか。」
 同僚たちは、連れ立って帰宅するところらしい。
「どこに行ってたんですか。大河原さんが、探してましたよ。」
「・・・伝七さん、今日は出てたんだ。」
 朝早くに顔を出したきり一日奉行所に帰らなかったので、伝七とは顔を合わせていなかった。なんだろうと考えていると、同僚が言い出した。
「そういえば、渡辺さんご存知ですか。結婚なさるそうですよ。」
 今しがた聞いたばかりの話だと、小五郎は頷きかけた。が、
「津田さんも、ようやっと理想の相手が現れたようです。」
「えっ?」
 予想と違う名前に、つい声が出た。
「津田さん、ですか?」
 驚いて訪ねると、同僚たちはそろって頷いた。
「お相手は、良家の子女だそうです。」
「津田さんの剣の腕を伝え聞いて、向こうの家から申し込みがあったそうで。」
「それで、近々祝いの席を設けようって、話をしていたんです。どうです、渡辺さんも。」
 今日これからも、予行演習と称して飲みに行くのだろう。陽気な同僚たちを見送って、小五郎は奉行所の門を今度こそくぐった。




 船手頭・片桐忠直の屋敷をしばし伺い、涼次は隙を見てその屋根裏に上がった。目当ての部屋の上まで来て天井板を一枚ずらすと、酒席の様子が見て取れた。
「片桐様には、何かとお世話になりまして。」
 商人風の男・・・これが近江屋徳兵衛だろう・・・が、上座に座す男に、頭を下げた。
「三年前に、渡瀬屋の株と艀を頂戴してよりこの方、近江屋は片桐様のお力添えのおかげで、かように大きくなりました。抜け荷の件に関しても、船手頭の片桐様のお目こぼしのおかげで、この徳兵衛たっぷり儲けさせていただいております。」
 徳兵衛が背後に、辰吉、と呼びかけると、手代が包みを持って進み出た。
「ささやかながら、感謝の印でございます。」
 手代が置いた包みを見やり、片桐は杯を取った。
「渡瀬屋も、おぬしほど聞きわけがよければ、死なずにすんだものを。」
 杯を勢いよくあおり、片桐は、しかしと言った。
「スリにあったと聞いたときは、肝を冷やしたがな。」
「申し訳ありませぬ。」
 風呂敷包みを開けると、菓子の箱が姿を現した。
「あの時は、子供スリから町方の気をそらすために、抜け荷の件で廻船問屋が怪しいと勘定奉行に匂わしたりと、なかなか骨であったぞ。」
 箱の下段を確認した片桐は、満足そうに頷いた。
「町方ふぜいが調べようと、抜け荷のからくりがわかろうはずもない。そう踏んで、勘定奉行から町奉行に情報を流させたのだが、睨んだとおりだったな。抜け荷の下手人は捕まらず、子供スリからは目をそらせる。全てが、こちらの思惑通りに進んだというわけだ。」
「それもこれも、片桐様のおかげでございます。」
 欲をたっぷり含んだ笑いが座敷に満ちた。その時、手代が誰かが訪れたことを、二人に伝えた。声が低くて、それが誰だかは聞き取れなかった。
「おお、来たか。」
 上機嫌の片桐は、客を近くに呼んだが、男は隣の座敷から入ってこようとしない。涼次の位置からは、鴨居が邪魔になって顔が見えない。ただ、腰の辺りに緋色の房が揺れているのが、確認できた。十手だ。一味に、同心がいる。涼次は、忌々しげに舌打ちをした。
「まあまあ。一杯やっておくんなまし。」
 徳兵衛が勧めたが、同心はそれも辞した。
「それよりも、早く出かけよう。」
 低い、感情のない声に、片桐と徳兵衛は、顔を見合わせた。
「何だ、せっかちな奴だな。まあ、いい。仕事が終わったら戻って来るんだな。今度は付き合ってもらうぞ。わしから、祝いの酒を振舞おう。」
 さほど気分を害した様子もなく、片桐が杯を高く上げた。
「私からも、ご結婚のお祝いを差し上げなくてはなりませんな。その前に、まず一仕事していただきましょう。辰吉、用意を。」
 辰吉が下がっていくと、同心も後について行ってしまった。
 涼次は、そっと天井板を戻した。



 しばらくして辰吉が、徳兵衛を呼びに戻ってきた。立ち上がろうとした徳兵衛に、片桐が低く唸るように言った。
「今度こそ、あれを取り戻すように。し損じるでないぞ。」
「・・・必ずや。」
 徳兵衛も低く応え、座敷を後にした。片桐は、杯に満たした酒をじっと見つめ、ぐいと一気にあおった。
 



11はこちらから


悪役が、やっと出揃いました。
伏線の拾い忘れが無いように、つじつまが合わなくならないようにと、必死です。
とりあえず、ベタなシーンを入れてみました。


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テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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