スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[--/--/-- --:--] | スポンサー広告 | page top
書いてはみたけど、続かないなぜかその9
とうとう9回目です。
もう、このまま最後まで行っちゃうよ。
拍手を、ありがとうございます。
まだしばらく、お付き合いくださいませ。


二次創作(仕事人2009)に付き、ご注意下さい。

1からご覧になりたい方は、こちらから。
 日が沈み、空は急速に暗くなっていく。
 昼間でも人の通わぬ竹林の奥、庵のような家屋から少し離れた所に、小五郎は立った。わざと気配を消さぬようにしていると、程なくして戸が開いた。後ろ手に乱暴に戸を閉めた涼次が睨んだが、無言で場所を移すように示し、先に立って竹林に足を踏み入れた。
「何の用だ。」
 不機嫌さもあらわに、涼次は低く訪ねた。小五郎は、大刀に腕をかけ、振り向いた。口元は笑みの形を作っているが、目は笑っていない。
「お前、子犬を拾ったそうじゃねえか。」
「はあ?」
 雰囲気とそぐわぬ話題に、涼次は首をかしげる。
「ふざけてんのか、てめえ。」
 暗くなってから、わざわざ呼び出してまで言う台詞ではない。しかし、小五郎は笑みを消さぬままで、視線だけをはずした。竹の葉が、風にさやさやと音を立てた。
「・・・・・・二月ほど前、女が殺された。おそらく、抜け荷の現場を見たための口封じだ。」
 静かな表情、静かな口調で、小五郎は話し出す。
「2日前には、餓鬼が殺された。こちらも推測だが、抜け荷の下手人にとって都合の悪いものを手にしたためだろう。」
 どちらも初耳の涼次には何の事だかわからず、苛立った様子を見せた。
「・・・何の話をしてやがる。いい加減に・・・・・・。」
「女の子供で、餓鬼の兄弟である娘が、餓鬼が殺された夜から行方がわからなくなっている。」
 口を挟もうとした涼次を制するように強く声を出し、明かりの灯った涼次の住まいを見やった。
「赤い着物を着た、しずって名の娘だ。」
 小五郎の言葉に、涼次は少し目を見開いた。しばし考えてから出した声は、低く潜めていた。
「確かに家には、赤い着物の娘がいる。しかし、それがしずって名かは分からねえ。」
 黙って自分を見る目を見返し、涼次は続ける。
「しゃべらねえからだ。しゃべらねえのか、しゃべれねえのか。それも分からねえ。黙って部屋の隅で小さくなって、何もしゃべらねえし、何も食わねえ。」
 今度は、小五郎が眉をひそめて考えた。
「・・・・・・しゃべらないにしても、しゃべれないにしても、娘が餓鬼が殺された現場にいたことは、確かだろう。すでに二人を殺している相手は、娘を放ってはおくまい。」
 強い光をこめて、小五郎は涼次を見た。
「来るぞ、追っ手が。」
 涼次は、その言葉の重さを思い、口をつぐんだ。しかし、小五郎は、すぐに表情を緩めた。
「ま、てめえが拾ったんだから、責任持って世話してやるんだな。」
 涼次の胸を軽く叩き、包みを取り出す。
「なんだよ。」
「・・・・・・まあ、なんだ。不調法な拾い主のおかげで、子犬が腹を減らしてるんじゃないかと思ってな。」
 最後の方は言葉を濁しつつ、小五郎は、じゃあなと手を振って立ち去った。



 家の中に戻ると、娘は涼次が外に出る前と変わらぬ場所に変わらぬ格好で、小さくなっていた。その傍らには、涼次が置いた椀が、中身もそのままに据えてある。
「食わねえのか?うめえんだぞ、これ。」
 応えはない。涼次は少し迷ってから、小五郎が残していった包みを取り出した。
「お前、しずっていうのか。」
 話しかけると、ぴくりと娘の肩が揺れた。やはり、小五郎の話の娘に、間違いなさそうだ。
「腹、減ってんだろ。なにか、欲しいものがあったら、言ってみな。」
 言いながら包みを開けると、中には団子がぎっしりと入っていた。
「何だ、団子か。」
 少々期待はずれの気がしたが、涼次の言葉にしずが顔を上げた。その目が、大きく見開かれる。気づいた涼次は、団子を包みごと差し出した。
「これが、好きなのか?」
 しずは、信じられないものを見るように団子を見つめ、涼次を問うように見た。出所を聞かれていることを悟り、涼次は言いよどんだ。
「これはだな。えー・・・。ちょっと、いや、かなりいけすかねえ奴が、何でか持って来やがって。そうだよ、何であいつが、こんなもん。」
 悪態をつきかけた所に、しずが立ち上がった。そのまま戸口に向かおうとするのを、慌てて引き止めるが先ほどまでの大人しさはどこへやら、力の限りにもがいた。
「いてて、こら。」
 娘は、必死に何かを伝えようとした。しかし、声が出ない。甚太が殺される所を見た恐ろしさに、声が出なくなってしまったのだろう。
「落ち着けって。話聞いてやるから、とにかくちょっと待て!」
 涼次の袂にすがり、しずは何かを訴えようとする。しかし、口は動くが声が一向に出てこない。口を押さえ喉をさするが、思うようにならない。もどかしさに、涙が浮かんだ。
「お前、字は書けねえのか?」
 涼次が尋ねるが、首を振る。途方に暮れて肩を落としたしずは、ふと胸に当てた手を止めた。はっとして懐から取り出したものをじっと見つめ、それを涼次の手に押し付けた。
「なんだ?」
 受取った巾着を開けようとすると、、慌ててしずが止めた。真剣な面持ちで首を振るしずの本意を悟り、涼次は目を細めた。
「あいつに渡せってのか?」
 しずの手が、涼次の手をきつく握った。
「わかった。お前のいうとおりにしてやるよ。」
 ため息をついて巾着を懐に入れ、涼次は立ち上がった。
「俺は、これからちょっと出かけてくる。用事が済んだらあいつのところへ行って、こいつを渡してやる。だから、安心して待ってな。絶対に外へ出るんじゃねえぞ。俺が帰ってくるまで、大人しく待ってるんだ。できるな?」
 こくりと頷くしずを残し、涼次は出かけていった。一人残されたしずの周りは、途端に静寂が包んだ。
 心細さにため息をつき周りを見回すと、涼次が広げたまま残して行った団子が目に入った。手を伸ばして一本取り口に含むと、覚えのあるほのかな甘さが口の中に広がった。ほんの数日前なのに、はるか遠い記憶を呼び起こされたような気がする。そのかすむような遠さに苦しくなる胸を押さえ、しずは涙をこぼした。団子の味も記憶も優しくて、その優しさゆえになおさら、涙はいつまでも止まらなかった。








涼次、やっとまともな出番。
その10は、こちらから。



この↓黒い拍手ボタンを押すと、お礼文が出ます。
良かったら、ポチっとやってみてくださいませ。
携帯からご覧の方は、「画像」という文字をクリックしてください。
PC版、携帯版ともに、更新してます。

拍手する




スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

[2009/09/09 11:32] | 二次創作 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
<< | ホーム | なんだかひどく眠いので、今日はこれで寝ます。また明日~>>
コメント
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

トラックバック
トラックバック URL
http://okoyuki.blog99.fc2.com/tb.php/264-41ddd325
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。